コイルドウェーブスプリング
COILED WAVE SPRING
小型省スペース化を実現
当社のコイルドウェーブスプリングは、従来のコイルスプリングと比較し、小線径でバネ定数を最適に高めることが可能であるため、軽量化するとともに省スペース化を実現可能としていおります。取り付け高さを低くできることから、特に静的な使用方法に適しております。当社では、コイルスプリングからの置き換え実績が多数ございます。
項目 | 範囲 |
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外径D | 4-240mm |
線厚t | 0.1-1.5mm |
線幅W | 0.4-12mm |
材質 | SUS631J1、SUS304、 SUS316、 Inconel ※それ以外の材料につきましても、コイルスプリングで多数実績がありますので、お気軽にご相談ください。 |
サイドフォースの低減化
圧縮ばねは、軸方向へ荷重を加えた際にスプリングから発生する180°逆向きの反発力を使用するものですが、コイルスプリングでは、その垂直方向(ラジアル方向)へ余分な力が発生します。その力をサイドフォースといいます。図に示すようにコイルスプリングの加圧中のたわみ量の変化に伴い、ピッチ角の変化によって中心軸がずれることが原因です。サイドフォースはハウジングへの干渉や荷重面の不均一等、組み込み製品の性能に悪影響を及ぼす要因となり得ます。
当社の高精度なコイリング技術によりサイドフォースを極限まで低減したコイルドウェーブスプリングの製作が可能です。(弊社実績例:1/5へ低減)
※コイルスプリング6巻、ウェーブスプリング12巻
圧倒的な工程能力
コイルドウェーブスプリングはバネ定数を最適に高めることで小型化が可能となりますが、そのトレードオフとして荷重がたわみに敏感になる為に、荷重のバラツキが大きくなる傾向があります。
当社では、ハード、ソフト両面において独自のカスタマイズを施した設備、長年にわたり蓄積した確かな技術により、極限まで荷重バラツキを低減することが可能です。
コイルドウェーブスプリングの荷重特性
コイルスプリングはJISにおいて全たわみの20%から80%で使用するのが好ましいとされております。ウェーブスプリングにおいても、
この範囲内が安定しております。
ウェーブスプリングはコイルスプリングと異なり計算値と実測値に乖離が見られます。一般的にたわみ初期は計算値よりもバネ定数が小さく、ある地点でバネ定数が大きくなります。この点は変曲点と呼ばれ、形状によりますが、たわみの50%前後で現れます。
コイルドウェーブスプリングの種類
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マルチ座なしタイプ
もっとも一般的なコイルドウェーブスプリングのタイプです。省スペース化を実現しながら最適な巻き数を選定することで、それぞれの用途に必要な取付長、たわみ量において、均一な荷重分布を実現させます。
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マルチ座付タイプ
各終端部に1巻分の座を設けることにより、ハウジングに対し、より面で受けることを可能にするタイプとなります。さらに座の形状を工夫することで、ハウジングへの組み付けに利用できるといった特徴もあります。一方で材料使用量が増えることによるコスト増や密着長が高くなるといった傾向があります。
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ウェーブワッシャーオーバーラップタイプ
一般的なコイルドウェーブスプリングと比べ小さなたわみで高い荷重を発生することができる特徴があります。また、板から打ち抜きのプレス加工品のウェーブワッシャーに比べ加工時の材料歩留を大幅に向上できることからコストダウンが見込めます。
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ウェーブワッシャーギャップありタイプ
密着長に極力低くしたい場合、使用されるタイプです。但しハンドリング時に絡みやすいという点もあります。
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多層巻タイプ
多層巻タイプは一本の異形線が連続的に重ね合わせられております。従来のようにウェーブワッシャーを重ねる必要がありません。このタイプは巻き数にバネ定数が比例する為、高い荷重を得ることが可能です。
コイルドウェーブスプリング仕様検討から量産化までの流れ
当社には、海外大手コイルドウェーブスプリングメーカーが発行しているような製品リストはございません。以下手順により、既存カタログにはない、お客様に最適な形状をカスタマイズしご提案させて頂いております。なお当社は海外のコイルドウェーブスプリングメーカーにも製品を供給した実績も多数ありメーカーカタログ品の対応も承ることは可能です。
1.要求仕様の確認
仕様検討には、最低限以下仕様が必要となります。
- 径(内径もしくは外径)
- 荷重(ばね定数)
- 取付長(取り付け使用範囲)
上記仕様が決まっていない場合は、当社からより自由度の高い提案ができる可能性がございますのでお気軽にご相談ください。
2.製作可否判断
コイルドウェーブスプリングでは、材料サイズ、巻き数、一巻き当りの山数等のパラメータを最適化することで、様々な荷重を実現することが可能です。但しコイル径により可能な荷重の範囲はございます。下表は、当社の過去の実績より対応できるコイル径、荷重を示しております。
3.形状の選定
当社ではコイルドウェーブスプリングの種類として、複数巻数のマルチタイプ、1巻のウェーブワッシャー、またワッシャーを多層巻きにした多層巻きタイプのように、様々な形状をラインナップしております。それぞれの特徴に合わせてお客様にあった形状をご提案することが可能です。
表:コイルドウェーブスプリング マルチタイプ
種類 | マルチ座なしタイプ | マルチ座付タイプ | |||
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終端部形状 | クローズドエンド 終端部:頂点タイプ |
クローズドエンド 終端部:斜面タイプ |
オープンエンド | シムエンド | |
写真 | |||||
特徴 |
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価格 | ◯ | ◯ | ◯ | × | |
量産性 | ◯ | ◯ | △ | △ | |
直角度 | 2.5山以下 | △ | △ | ◯ | ◯ |
3.5山以上 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
密着長 | ○ | ○ | ○ | × |
横にスワイプすることで、表の詳細をご確認できます。
表:ウェーブワッシャー
種類 | ウェーブワッシャー | 多層巻 | |
---|---|---|---|
終端部形状 | オーバーラップタイプ | ギャップありタイプ | - |
写真 | |||
特徴 |
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価格 | ◯ | ◯ | △ |
量産性 | ◯ | △ | ◯ |
高荷重 | ◯ | ◯ | ◎ |
密着長 | △ | ○ | △ |
横にスワイプすることで、表の詳細をご確認できます。
4.仕様決定
1~3で頂いた情報を元に、材料サイズ、巻数、一巻き当りの山数等の仕様をご提案させて頂きます。
6.試作評価
お客様実機にて試作品の評価を頂きます。問題がなければ、量産図面に展開頂き量産化となります。問題があれば再度仕様検討のすり合わせをさせて頂き、問題を解決致します。
コイルドウェーブスプリングQ&A
- コストダウンの為、プレス品のワッシャーをウェーブワッシャーに切り替えたいのですが可能でしょうか。
- 可能です。当社では、過去数回の実績がございます。ウェーブワッシャーはプレス品のワッシャーに比べバネ定数が低下する傾向がある為、それを補うカスタマイズをさせて頂きます。
- コイルドウェーブスプリングの標準品はありますか。
- 当社では特に標準品はございません。お客様の仕様に合わせたスプリングの提案、提供が可能です。
- 海外コイルドウェーブスプリングメーカー等のカタログの型式と同形状の製品は製作できますか。
- 製作可能です。海外コイルドウェーブスプリングメーカーのOEMとして製作、輸出供給した実績が多数ございます。
- コイルドウェーブスプリングで対応できる材質はどのようなものがありますか。
- 硬鋼線、SUS304、SUS316、SUS631J1、インコネルの実績はございます。それ以外の材料でもお気軽にご相談ください。
- 納期はどのくらいかかりますか。
- 当社の在庫品の材料、治具が使用できる場合は、最短で1週間以内、材料、治具を新規で製作が必要な場合は、最短で1ヶ月程度かかります。
- ステンレスなのに茶褐色や青色の光沢があるのはなぜですか。
- コイリングする際に材質内に生じる加工ひずみの除去、強度向上を目的とし、専用の熱処理炉にて熱処理を行います。その際にもともとの材料に施されているメッキや、表面に付着している油分が反応し色に変化がみられます。